はじめに
自宅ネットワーク環境を2.5GbE化するため、USB-LAN2500R2(USB Type-A 2.5GBASE-T有線LANアダプタ)を利用しています。非サポート製品のため、アダプタの障害やDSMのバージョンアップにより動作しなくなる可能性があります。また、接続先はインテリジェント機能のないスイッチです。未使用のLAN1およびLAN2ポートを活用し、フェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」機能を利用するために「Bond機能」を検証を行いました。検証後にLAN構成を変更しました。
NASのLAN構成
NASのLAN構成は、以下の通りです。
・DSMバージョン : DSM 7.2.2-72806 Update 3
・LAN1 : 標準搭載 (1GbE)
・LAN2 : 標準搭載 (1GbE)
・LAN3 : USB-LAN2500R2(USB TypeA 2.5GBASE-T有線LANアダプタ)
・接続先スイッチ : L2スイッチ(2.5GbE)インテリジェントではない
※ 現在、LAN3(2.5GbE)を利用
検証1 LAN2とLAN3でフェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」
<結果>
LAN3とLAN2をフェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」は、作成できるが、NASを再起動するとBondの設定がなくなってしまい機能しません。
- LAN3(2.5GbE)をアクティブ、LAN2(1GbE)をスタンバイとする設定を行います。
- ① 「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
- ② 「作成」ボタンから「Bondの作成」を選択します。
「Link Aggregationモード」の画面が開きます。 - ③ 「● アクティブ/スタンバイ」を選択して、「次へ」ボタンをクリックします。
「物理デバイス」の画面が開きます。 - ④ 「☑ LAN2」と「☑ LAN3」にチェックをつけて「次へ」ボタンをクリックします。
※ 一旦チェックを外して、LAN3からチェックをつけて下さい。
先にチェックした方がアクティブになるようです。
「異なる速度で…」のメッセージがでますが、「はい」をクリックします。
「ネットワーク設定」の画面が開きます。 - ⑤ 「● 手動で設定する」を選択して下記を入力します。
・IPアドレス:
・サブネットマスク:
・ゲートウェイ:
・DNS Server:
「完了」ボタンをクリックします。
「Bondされた…」メッセージがでますが、「はい」をクリックします。 - ⑦ 作成が完了です。
「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
「Bond 1」が作成されていることを確認します。右側▽をクリックするとインターフェイスの状態が確認できます。 - ⑧ NASをリブートします。
なぜか、「Bond1」の設定が消えます。
いろいろ、設定を確認したのですが、解決に至りません。
検証2 LAN1とLAN2をフェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」
<結果>
LAN1とLAN2をフェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」は、期待どおりに作成できます。
- LAN1(1GbE)をアクティブ、LAN2(1GbE)をスタンバイとする設定を行います。
- ① 「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
- ② 「作成」ボタンから「Bondの作成」を選択します。
「Link Aggregationモード」の画面が開きます。 - ③ 「● アクティブ/スタンバイ」を選択して、「次へ」ボタンをクリックします。
「物理デバイス」の画面が開きます。 - ④ 「☑ LAN1」と「☑ LAN2」にチェックをつけて「次へ」ボタンをクリックします。
※ 一旦チェックを外して、LAN1からチェックをつけて下さい。
先にチェックした方がアクティブになるようです。
「ネットワーク設定」の画面が開きます。 - ⑤ 「● 手動で設定する」を選択して下記を入力します。
・IPアドレス:
・サブネットマスク:
・ゲートウェイ:
・DNS Server:
「完了」ボタンをクリックします。
「Bondされた…」メッセージがでますが、「はい」をクリックします。 - ⑦ 作成が完了です。
「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
「Bond 1」が作成されていることを確認します。右側▽をクリックするとインターフェイスの状態が確認できます。 - ⑧ NASをリブートします。
「Bond1」の設定が存在して正常です。
検証3 LAN2とLAN3で「負荷分散機能」
<結果>
LAN3とLAN2で「負荷分散機能」は、作成できるが、NASを再起動するとBondの設定がなくなってしまい機能しません。
- LAN3(2.5GbE)とLAN2(1GbE)で「負荷分散機能」の設定を行います。
- ① 「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
- ② 「作成」ボタンから「Bondの作成」を選択します。
「Link Aggregationモード」の画面が開きます。 - ③ 「● 負荷分散機能」を選択して、「次へ」ボタンをクリックします。
「物理デバイス」の画面が開きます。 - ④ 「☑ LAN2」と「☑ LAN3」にチェックをつけて「次へ」ボタンをクリックします。
※ 一旦チェックを外して、LAN3からチェックをつけて下さい。
「異なる速度で…」のメッセージがでますが、「はい」をクリックします。
「ネットワーク設定」の画面が開きます。 - ⑤ 「● 手動で設定する」を選択して下記を入力します。
・IPアドレス:
・サブネットマスク:
・ゲートウェイ:
・DNS Server:
「完了」ボタンをクリックします。
「Bondされた…」メッセージがでますが、「はい」をクリックします。 - ⑦ 作成が完了です。
「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
「Bond 1」が作成されていることを確認します。右側▽をクリックするとインターフェイスの状態が確認できます。 - ⑧ NASをリブートします。
やはり、「Bond1」の設定が消えます。
検証4 LAN1とLAN2で「負荷分散機能」
<結果>
LAN1とLAN2を「負荷分散機能」は、期待どおりに作成できます。
- LAN1(1GbE)とLAN2(1GbE)で「負荷分散機能」の設定を行います。
- ① 「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
- ② 「作成」ボタンから「Bondの作成」を選択します。
「Link Aggregationモード」の画面が開きます。 - ③ 「● 負荷分散機能」を選択して、「次へ」ボタンをクリックします。
「物理デバイス」の画面が開きます。 - ④ 「☑ LAN1」と「☑ LAN2」にチェックをつけて「次へ」ボタンをクリックします。
※ 一旦チェックを外して、LAN1からチェックをつけて下さい。
先にチェックした方がアクティブになるようです。
「ネットワーク設定」の画面が開きます。 - ⑤ 「● 手動で設定する」を選択して下記を入力します。
・IPアドレス:
・サブネットマスク:
・ゲートウェイ:
・DNS Server:
「完了」ボタンをクリックします。
「Bondされた…」メッセージがでますが、「はい」をクリックします。 - ⑦ 作成が完了です。
「コントロールパネル」 ⇒ 「ネットワーク」 ⇒ 「ネットワークインターフェイス」タブを選択します。
「Bond 1」が作成されていることを確認します。右側▽をクリックするとインターフェイスの状態が確認できます。 - ⑧ NASをリブートします。
「Bond1」の設定が存在して正常です。
検証結果
上記以外にも、LAN1、LAN2、LAN3の「負荷分散機能」を試しましたが、リブートすると「Bond 1」からLAN3が消失します。
検証1:NG
検証2:OK
検証3:NG
検証4:OK
★ 安定した運用を行うには、以下の3つの選択肢があります:
① 検証2のフェイルオーバー「アクティブ/スタンバイ」を利用する。
② 検証4の「負荷分散機能」を利用する。
③ 同じネットワークの別IPアドレスで、LAN3と検証2または検証4を併用する。
★ どの選択肢を選ぶか
① LAN1とLAN2の「アクティブ/スタンバイ」は、スイッチが2台の冗長構成でないため見送ります。
② LAN1とLAN2の「負荷分散機能」は、複数のクライアントからのアクセスの場合にメリットがあります。
①よりも②の方が実用的です。
③ LAN3(2.5GbE)をメインに利用し、同じネットワークの別IPアドレスで検証4を利用する。
あとがき
LAN3でNASを再起動した際に、Bond設定が消えるという想定外の事象が発生しました。「Bond設定」の「物理デバイス」画面に移行したとき、LAN3だけチェックが外れていたので嫌な予感がしていました。しかし、設定が完了して喜んでいたのも、NASを再起動するまででした。LAN3はサポート対象外のUSB LANのため、やむを得ない結果かもしれません。今後、動作確認など改善されたら見直します。
<結果>
②のLAN1とLAN2の「負荷分散機能」を利用することにしました。理論上は最大2GbEですが、1台のクライアントはLAN1またはLAN2のいずれかに接続されるため、最大1GbEの通信となります。2台のクライアントが同時にアクセスする場合、LAN1とLAN2に振り分けられます。また、片方のLANポートに障害が発生しても、もう片方のLANで通信が確保されます。2.5GbE化の目的からは外れますが、安定性を優先し、「負荷分散機能」を利用することに決めました。
※ USB-LAN2500R2では、現状設定面で課題があります。今後、解決すれば構成を見直します。